ベントの話|堂島店(大阪)
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さて本日は、ジャケットのベントにフォーカスしてお話していきます。
スーツをオーダーされる際、ジャケットの後ろにあるベントのデザイン(真ん中で1本切れ込みのあるセンターベント、横2本に切れ込みのあるサイドベンツ)で悩まれたことはございませんか?スーツがお好きな方であれば、お好みに合わせて選ばれることも多いのですが、初めてオーダーされる方等は「どっちの方がいいの?」とご質問されることも少なくありません。
<センターベント>
<サイドベンツ>
結論から申し上げますと、タキシード等のノーベントと決まっているものを除いては、センターベント、サイドベンツどちらでも基本的には問題ありません。そもそもベントは、機能性を求めて生まれたデザインであります。色々と諸説はございますが、センターベントは乗馬の際の可動域を、サイドベンツはサーベル(剣)の差しやすさを求めて施された工夫と言われております。つまり、どちらの方がよりフォーマルというような優劣もございません。
現代においては、ビジネススーツやブラックスーツ等であれば基本的にお好みでお選びいただいて問題はないのですが、ただジャケットのデザインやサイズ感によっては、向き不向きがございます。例えば視覚的にすっきりと見えるのはセンターベントなのですが、タイトフィットのものや、フロント釦を留めての着用を前提としたダブルブレストのジャケットでは、ベント部分がお尻に当たり開きやすくなる為、サイドベンツの方が収まりはよくなります。メンズスーツにおいて、お尻が見えすぎると不格好にも見えてしまう為、その辺りのバランスを考慮してどちらの仕様にするかお選びいただいても良いかと思います。
何気ないディティールの一つですが、印象を左右する部分でもありますので、今までなんとなくで選ばれていた方も、ぜひ参考にされてみてはいかがでしょうか。
西村 大翔