おばあちゃんの思い|京都本店
先日、某会で仲良くさせていただいているОさんから
「甥っ子がこの4月から就職で、うちの母が記念にスーツを作ってやりたいって言ってるんやけど頼むわ‼」
と電話がありました。
お孫さんが無事大学を卒業し、社会人になる…社会に出て頑張れるよう身なりを整えてあげたい…。きっとそんな思いでОさんに相談されたのでしょう。
こんなお話をいただいて、私としては燃えないわけはありません。
来店当日、Оさんと一緒にご来店のご本人と少しお話しし、事前にいくつかセレクトしておいた生地の中からお選びいただいたのがこちらの生地。
RIABELLA(リアベラ) made in ITALY
イタリア「Tollegno(トレーニョ)」のリアベラの服地です。エクストラファインクラスのウールを単糸使いが多いイタリア製の中できちんと双糸(そうし:2本撚り)使いで織り上げられた非常にきれいな表面感の生地。
ご本人と相談した結果、せっかくおばあちゃんからのプレゼントなので、着倒すような使い方ではなく大切な時のきちんと着れるスーツを仕立てたいということでこの生地になりました。
今年もドラフト一位を輩出した名門大学で野球をされているОさんの甥っ子さん。
内野の花形!サードを守っているそうで、野球をしている人に多いお尻と前腿がとても発達したスポーツマン体型の典型…筋肉質のアスリートタイプそのものです。
できるだけスマートなシルエットを作る為、前腿を少し当て気味にサイジングし、膝から下を細めにすることでパンツシルエットをすっきりさせることにしました。
ジャケットのサイジングでは上半身の特に背巾をすこししっかり目にとり、綺麗に引き締まったウエストにかけてシェイプを利かせたサイジングとしました。
型紙段階でカーブの角度や、ゆとり量のメリハリを大きめに付けるため標準的なパターン(型紙)と比べると、かなりダイナミックなカーブを感じる型紙になります。
お孫さんの門出に際したおばあちゃんの「思い」がずっと残るスーツを仕立てたいと思います。
「これは俺から…」とオーダーシャツとネクタイをプレゼントされたОさん。
甥っ子さんの嬉しそうな顔が印象的でした。
ただ単にスーツを作るだけでなく、思いを形にして届ける大きな役割を持ったスーツ。しっかりいいものを仕立てたいと思います。
有難うございました。